オレサマ人生珍道中

日々の出来事備忘録、趣味についてツラツラ書き連ねております。

Z50の想ひ出

先日、クルマを車検に出した。

人生初の新車購入を経験し、3年に渡りあちこち…行ってないが
新車でクルマを購入できたことは感無量であった。
車種はホンダの「ステップワゴン スパーダ クールスピリット」。
略してクルスピである(以下STEP)。
恐らく二度と新車なんて購入しないであろう。
中古で充分…なんて思ってたら、STEPの新型が発表された。
そうなると人間の心理とは不思議だ。
(買えるかな…)
バカ丸出しである。ちなみに買わない。買えない。
大体がプロパーでの金額で言うと相当お高くなっておられる。
ウチのSTEPより100万程度上乗せ。
こんなん買えるか!

そうは言いながら、STEP以外のエンジン付きの乗り物で、
今までで新車を購入したことがないワケではない。

それはホンダの「モンキー」、形式番号「Z50」である。

モンキー、なんでしょう、この甘美な響き…。
もちろん猿を飼っていたワケではないし、そんなに猿が好きでもない。
ホンダから販売されている50の原動機付自転車である。
このクラス(原付一種)の50〜100ccの小型バイクを総称して
4mini(4ミニ)と呼ばれている。
明確な定義は曖昧らしいが。

購入したのは2005年頃かな?
当時、最初の会社から転職して、突然残業費もボーナスまでも
支給される会社に移り、相当有頂天だったオレサマ。
夏のボーナス直前、なにかしらの達成感が欲しかったんだろうか。
おそらく当時で乗り出し¥180,000はしたはずだ。
ちなみに現在のモンキーはフュエールインジェクション(FI)を搭載し、
車輛代だけで¥300,000もする、ある意味モンスターになってしまった。

当時、実は既に1台バイクを乗っていた。
それはこの当時爆発的に大流行した
ヤマハの「SR400」である。
このバイクの乗り味は非常に良かった。
低回転域から高回転域まで想像よりよく延びたし、
爽快感はバツグン。なによりルックスが素敵だった。

そんな中、バイク2台持ち、というワードに憧れを抱き、
とはいえ車検があるバイクは非現実的だし、SRは400ccなだけに、
たまに友人の250ccなど乗らせてもらうと、
その中途半端な乗り味に辟易してしまい、結局触手が延びなかった。
ま、SRの話は後日。

だったら徹底的に可愛くて非力で面白いヤツにしようと考え、
丁度悪友がかなり程度のいい中古モンキーを購入したことにも後押しされ、
負けてられん!的心境も相まって購入に踏み切ってしまった。

しかしこのバイク、本気で遅い。
前へ進ませる推進力が極度に低い。
普通自動車免許をAT限定だろうがMTだろうが一度は学科で習うであろう、
「踏切進入から走行について」。
〜踏切に進入する場合は停止線で一旦停止し、左右の安全を目視で確認し、
 かつ耳でも電車等の走行を感知して、安全が確認できたら走行を開始する。
 その際、変速機が付いている自動車の場合、変速はせずに走行する。〜
的なことを習うのだが、モンキーは4段変速のバイクであるので、
上記変速機付きの乗り物に該当するのだが、このバイク、
1速でせいぜい2メートルくらしか進まない。
最近の原チャリはスタートが非常に安定していて、且つそこそこの加速なので
大概はスタートダッシュで置いていかれる。
2メートルということは田舎の路線だとモロに線路を横断している最中である。
なので線路上でギアチェンジするのがデフォルトなのである。

そんな非力な相棒モンキー。

更にこのバイク、燃費は異常によろしい。
詳細は憶えていないが、満タン法で凡そ50km/ℓ程度は走ったと記憶している。
給油なんて月に1回。ガス欠になっても
リザーバータンクで平然と1日乗り過ごせる。
そんなエコなだけに、リザーブですらカラにして
ガチのガス欠したことが何度もあった。

そんな優等生なモンキー。

そんな折り、同じく上記の中古を購入した悪友と
モンキーでのツーリングを企画した。
とは言ってもそんなに遠くまでこのバイクで移動することは
そもそも体力的に無理なので、近場で茶を濁そうと考えた。
そして考えた行き先が、なにを思ったか奥多摩だった。
言っちゃなんだがこのモンキー、馬力なら4馬力程度。
比べる対象が悪いが今をときめくカワサキの「Ninja H2」は200馬力。
つまり馬196頭分の差があるってことである。
そんな馬4頭分のモンキーで気軽に坂道なんて登っちゃいけない。
まさかのママチャリにすら抜かれる。いや、抜かれるならまだしも、
体重70kg前後の当時のオレサマが乗った日にゃ動かない場面もあった。
そして山の頂上に這々の体で到着するも、
プラグがかぶってエンジン始動すらできない状況が30分以上かかった。
馬4頭分というが、絶対1頭分もないと思う。

そんなプリチーなモンキー。

さすがにここまで非力だと日常生活において何の役にも立たんなと思い、
前々から興味があったボアアップをしてみようかと考え、
その前にちょっとマフラーの音がショボいなと、当時若かったオレサマ、
劇的に音だけ爆音が出る、ヨシムラ「サイクロン」マフラーを購入。
お値段なんと取り付け工賃込みで約¥80,000ナリ。
若気の至りもいいとこである。
ただこのマフラー、当時では唯一の
モンキー純正マフラーガード取付可能なマフラーだった、はず。
早速取り付けてもらい、矢も楯もたまらず試し乗りしたが、
変わったのは音だけ。相変わらずジョグとかトゥデイとかに
スタートでぶっちぎられる爆音モンキー。
その姿は空しささえ感じられる。

そんなオシャレさんなモンキー。

片手運転すら不安定で怖いモンキー。

狭山湖のオフロードで深さ約20センチ程のぬかるみに
一緒にハマったモンキー。

油断してアクセル開けると馬のいななきの如くウィリーするモンキー。

キャブ車のモンキー。

キイロが眩しかったモンキー。

最期は盗まれて、全てを失ってしまった…。
人間とは不思議なもので、盗まれたと気づくまでは
「あれ?昨日は離れたところに停めたかな?」などと
脳内が危険と判断すると信号が変わるようにできているらしい。
気づいたら後の祭り。警察に盗難届を提出するも、
絶対にでてこないと最初から分かっていたが…。

そんな30代前半の甘くて酸っぱい物語でした。

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